「すぐに返信する人が、仕事ができる人」
そう思い込んでいた時期が、私にはありました。
メール、チャット、Slack……。
通知が来た瞬間に反射的に返信する。
相手に待たせるのは失礼だし、早く返したほうが“やる気”や“誠実さ”が伝わると思っていたからです。
でもある時、私はふと気づいてしまったのです。
「あれ、この返信、内容が浅い……」
「ちょっと感情的な返し方をしてしまったかもしれない……」
「本当に答えるべき問いに、向き合えていないかもしれない……」
早く返すことが目的化して、本質的な課題に目を向けられていない。
そんな“反射神経の仕事”が、実は誰のためにもなっていなかったことに、やっと気づけたのです。
子育てのなかで気づいた「間」の力
思い返すと、子育ての場面でも同じことがありました。
子どもが感情的に言葉をぶつけてきたとき、すぐに言い返すと、余計に話がこじれる。
むしろ、一呼吸おいてから返すほうが、お互いにとって良い対話になる。
子育てを通して私は、「間を取る」ことの大切さを学びました。
その“間”は、相手の言葉を飲み込むためであり、自分の反応を客観視するための時間でもあります。
「今の自分を、別の視点で見る」──メタ認知という力
このような“一瞬立ち止まる力”は、心理学の世界では「メタ認知」と呼ばれます。
簡単にいえば、「今の自分を、別の視点から見られる力」。
加藤洋平さん/中竹竜二さん著書の『人の器の磨き方』で、メタ認知はこのように表現しています。
「何に焦点を当てるべきか」
「どこに軸足を置くべきか」
「どの距離から見るべきか」
を意識的に選択すること。
軸足なきメタ認知は、漠然と眺めるだけで終わってしまい、本質的な洞察を得ることはできない。
まさに、かつての私は「軸足なきメタ認知」でした。
焦って返す、形だけ動く。
でも、どこに焦点を当てるべきか、本当に問うべきことは何かに向き合えていなかった。
反応から対話へ──「関係性を見直す」視点
職場でも、即レス文化が強いと、いつのまにか「反応すること」が優先され、「対話すること」が後回しになってしまいます。
それが続くと、関係性はすれ違い、信頼貯金も目減りしていきます。
一方で、「この人、すぐに返さないけど、返ってくる言葉に深さがある」と思われる人もいます。
そうした人が備えているのは、“どの視点から見るかを選ぶ力”=思考のOSだと思います。
行動ではなく、「関係性」に目を向ける。
スピードではなく、「言葉の質」に意識を向ける。
その切り替えこそが、これからの人材育成や組織づくりにおいて重要になると感じています。
最後に、あなたへの問い
あなたは、何のために“すぐ返して”いますか?
その言葉は、誰に、どんな関係性で、どんな未来をつくっていますか?
もしかしたら、一瞬立ち止まることが、
あなた自身の言葉と関係性の質を、大きく変える第一歩かもしれません。
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