問いを変えれば、すべてが変わる。
見つけよう、その先の問いを。

#22 仕事の悩みの奥にある“人生”を聴く──子育て経験が拓く対話の力

ある日、外部コンサルタントとして関わっている企業で、1on1セッションの機会がありました。
相手は、部下育成に悩むある中堅社員の方。初めは「業務改善」「成果への焦り」などを語っていましたが、対話の中でふと、ぽろりと本音がこぼれました。

「実は、子どものことでずっと悩んでいて…仕事に集中できなくて…」

その瞬間、私はふっと空気が変わるのを感じました。
“仕事”だけをテーマにしていたら、決して出てこなかった言葉。
けれど、悩みとは往々にして、仕事とプライベートが複雑に絡み合っているものです。

実は私も、子育ての最中には何度も同じような迷いを抱えてきました。
だからこそ、「わかりますよ」と、表面的に寄り添うのではなく、その人がどんな葛藤を抱え、どんな言葉を求めているのかを、心の深い部分で感じ取ることができたのだと思います。


上下関係ではなく、人と人として向き合う

私はコンサルタントとして企業に関わるとき、自分が“外部”であることを、むしろ大切にしています。
なぜなら、上下関係がないからです。評価も査定も関係ない立場だからこそ、フラットに対話できることがある。

日本社会では、先輩・後輩、上司・部下といった縦の関係性が色濃く残っています。
社会人類学者・中根千枝さんの著書にもあるように、私たちは中学生の頃から部活動などを通じて「タテ社会」を身体化してきました。
その感覚のまま大人になり、職場でも“指示命令系統”の中で会話をしてしまう。

でも、それでは「悩み」を開けない人がたくさんいるのです。
だからこそ私は、上でも下でもなく、「一人の人」として目の前の相手と向き合いたい。
子どもを育てる中で培ってきた、「まず話を聴く」「感情の奥を探る」対話の力が、まさにそこに生きていると感じます。


正論よりも、背景に目を向ける

誰もが、自分の“正論”を持っています。
そして、違う意見に出会ったとき、それを否定されたように感じてしまう。

でも、視点が違うだけなのです。
置かれている環境、役割、経験。
家庭で起きていること、人生で背負っているもの。
それらが違えば、意見や価値観が違って当然です。

子育てを通じて私は学びました。
“正しさ”ではなく、“背景”に目を向けることの大切さを。
その経験が、仕事においても、対話の質を深め、関係性を変えていくことにつながっています。


最後に、あなたへの問い

あなたは、目の前の相手を“役割”で見ていませんか?
“上司としての部下”“部下としての上司”というフィルターではなく、
一人の人として向き合ったとき、どんな対話が生まれるでしょうか?

Stay tuned for the next article!

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