問いを変えれば、すべてが変わる。
見つけよう、その先の問いを。

#25 “みんなと同じ”から離れていく勇気──子育てが教えてくれた“自律”の本質(その2)

自律とは、「放っておくこと」ではない

前回は、娘の「センター試験は受けない」という決断から、自律とは“自分主導で社会の枠を広げていく力”であることを書きました。

今回は、その自律が組織や子育てにおいて、どう育まれるのかを考えてみたいと思います。

まず、組織でよく耳にする「自律型人材」という言葉。その背景には、こんなニュアンスが含まれていることがあります。

  • 上司が細かく言わずとも、勝手に動ける人
  • 指示を待たずに、自分で判断して進める人
  • 任せておいても安心な人材

けれど、これは本当の意味での「自律」でしょうか?

自律とは、“一人で何でもできること”ではありません。

むしろ、自分の判断が何に影響を受けているのかを自覚し、丁寧に問い直していく力です。

誰かに言われたから動くのではなく、かといって全てを自分の中で完結させるのでもない。

大切なのは、「今の私は、どんな“ものの見方”に立っているのか?」という視点を持ち、それを選び取ることなのです。


メタ認知という“思考のOS”を育てる

このときに必要になるのが、「メタ認知」の力です。

メタ認知とは、自分の思考や感情、行動を一歩引いた視点から観察し、
「どこに注目するか」「何を大切にするか」「どのような距離感で向き合うか」を選び取る力。

ただぼんやりと出来事を俯瞰するだけでは、気づきは限定的です。
意図的に視点を選び、自分の立ち位置を見極めることで、ようやく本質に近づけます。

これは、親として子どもと向き合うときにも、
上司として部下と向き合うときにも、まったく同じです。


表面的な行動の奥にある“構造”を観る

たとえば、返信の遅い部下がいたとします。

つい「やる気がないのでは?」「反応が薄い」と評価してしまいがちですが、
一歩引いて、こう問うこともできます。

  • 「なぜ、返信をためらっているのだろう?」
  • 「自分が“早く返せ”という空気を出していないか?」
  • 「自分は“スピード重視”という偏った価値基準を持っていないか?」

このように自分自身の“認知のクセ”に気づけることが、対話の質を変えます。

メタ認知とは、単に「自分を振り返る力」ではなく、
「関係性のなかにある構造に目を向ける力」です。


本当の「自律」は関係性のなかで育つ

自律を育むには、単に「任せる」「口を出さない」だけでは足りません。

むしろ、

  • どんな価値観に基づいて判断しようとしているのか
  • どんな不安や迷いを抱えているのか
  • どんな支援があれば、自分で一歩を踏み出せるのか

──こうした問いに伴走できる大人や上司の存在があってこそ、自律は育っていくのだと思います。


■あなたへの問い

あなたは今、誰かの言動に対して
「なぜそんなことをするのか」と反射的に評価していませんか?

そのとき、自分自身に問いかけてみてください。

「私は今、どんな“メガネ”でその人を見ているのだろう?」

そしてそのメガネを、一度外してみたら──
新しい対話が、始まるかもしれません。

Stay tuned for the next article!

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