問いを変えれば、すべてが変わる。
見つけよう、その先の問いを。

#1 子育て経験が人材育成に変わるとき

――娘が、自律型人材として歩み始めるまで

子どもが社会のなかで活躍する姿を見るたびに、私は思います。
「子育てとは、まさに人材育成の実践だったのだ」と。

現在、娘はアメリカでエンジニアとして、自律的なキャリアを築いています。彼女の意思決定の仕方や行動特性を観察する中で、私はビジネスにおける「自律型人材」の姿を重ねて見ています。

では、彼女はなぜこのような生き方を選んだのか。
それを整理したくなり、自分自身の子育ての歩みを振り返りながら、こうして言葉に綴ってみることにしました。

 

自己紹介

私は17年間、専業で子育てに取り組み、現在は法人の代表として、人材育成・組織開発・プロセス支援などをフェローとともに活動しています。
専門領域は「人と組織の変容」に関するプロセス・コンサルティング。個人や組織が「自ら気づき、自ら動き出す」状態をつくることを大切にしています。

海外での子育てや、地域コミュニティに深く関わった経験の中で、異文化や多様な価値観と対峙してきました。そのなかで感じた違和感や問いは、自身にとって大きな転機となり、今のビジネス活動にも強く影響しています。

このコラムは、娘が暮らすアメリカの家に滞在しながら執筆しています。

 

子育てとマネジメントは交差する

このテーマは、家庭における「子育て」と、組織における「部下育成」の本質的な共通点に着目したものです。
中学生以上のお子さんを育てている保護者や、マネージャーとして人を育てている方にとって、何かのヒントになることを願いながら綴っています。

 

願うこと”と“伝わること”の間にあるギャップ

多くの親は、子どもに「幸せになってほしい」と願っています。
けれども、親が描く“幸せ”と、子ども自身が思い描く“幸せ”との間には、往々にしてギャップが存在します。

これは、親子関係だけでなく、職場における「上司と部下」の関係にも同様の構造が見られます。

たとえば――

  • 親は「安定した職に就いてほしい」と願う。
     しかし、子どもは「自分の好きなことを仕事にしたい」と考えている。
  • 上司は「管理職を目指してほしい」と期待する。
     しかし、部下は「専門性を深め、現場で活躍したい」と思っている。

いずれも、育成する側の“善意ある期待”が、相手の意思や価値観とすれ違ってしまっているケースです。

重要なのは、「相手の視点で考えること」。
たとえどれだけ応援しているつもりでも、それが一方的な価値観の押し付けであれば、結果として相手の成長や自律性を阻む要因になってしまうと考えているからです。

私自身の体験から

私も、まさにそうした経験をしてきました。
当時の私は、親として「良かれと思って」娘にさまざまなアドバイスや支援をしていました。
しかし今振り返ると、それは“応援”ではなく、自分の価値観の押し付けだったと気づいた時から、私の成長が始まりました。(成人発達理論)

例えば――

  • 大学進学は「当然」と考えていた。
  • だから、「迷うくらいなら、とりあえず目指してみなさい」と背中を押した。
  • 「よく分からないなら、言われた通りにやっておけばいい」と促していた。

けれども、当時の娘は、「自分が本当に何をしたいのか」を模索している真っ只中。
私の言葉はきっと、励ましではなくプレッシャーとして受け取られていたのだと思います。

そして私もまた、「こんなに子どものために頑張っているのに、なぜ伝わらないのだろう」と苦しんでいました。
支えるつもりが、すれ違ってしまう。そんな親子関係に、私自身、深く悩んだ時期がありました。

いま、同じように悩んでいる方へ

子育てにも、部下育成にも共通していえるのは、
「育てる側が、育てられている側の主体性をどう尊重するか」という問いです。

「本人が自分の人生やキャリアに責任を持てるようになること」
これこそが、育成の最終ゴールであり、本質なのだと感じています。

私たちはつい、“どう育てるか”という視点に立ちがちです。
けれど、もし「育てる」から「引き出す」へ問いを変えたら、見える景色はどう変わるでしょうか?

― あなたの問いは、今、誰の未来を照らしていますか?

このコラムが、親として、あるいはリーダーとして、誰かの育成に関わる方のヒントや支えになることを願って──

Stay tuned for the next article!

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