問いを変えれば、すべてが変わる。
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#9 「“守”から“破”へ:育ちのフェーズと手放す勇気」

【はじめに:守・破・離とは】

日本の武道や芸道における成長プロセスに、「守・破・離(しゅ・は・り)」という考え方があります。

  • :まずは型を忠実に守る段階。既存の枠組みや価値観に従い、基礎を固める。
  • :そこから脱し、自分なりの解釈や工夫を加えて枠組みを“破る”段階。
  • :最終的には、型そのものから“離れ”、自分自身のスタイルを確立していく段階。

これは、茶道や剣道などの伝統芸能に限らず、子育てや組織における人材育成、そして私たち自身のキャリア形成にも通ずる考え方だと思っています。


守 ―「型」を渡す時期

娘が幼少期の頃、私は“トップダウン型”の関わり方をしていました。

バイオリンやピアノなど、親が決めた習い事を、毎朝欠かさず練習する生活。週末や旅行先でも例外なく「継続」を重視していました。
娘自身の選択ではなかったけれど、この時期に身につけた「努力する習慣」は、今も娘の礎になっていると感じます。

この“守”の時期は、あらゆる成長のスタート地点。
親が手本を示し、環境を整え、枠組みの中で型を繰り返す。そこから得られる安心感と反復の蓄積が、後の“自立”に繋がっていきます。

組織でも同様です。
新卒や若手社員は、まずは仕事の型を覚えることから始まります。
報告・連絡・相談の仕方、資料の作り方、会議での発言タイミングなど、最初は“既存のやり方”に倣うことで、土台を築いていきます。
この段階では、“守ること”そのものに価値があるのではないかと考えています。


破 ―「違和感」が扉を開く

“型”を守ってきた日々の中で、少しずつ訪れたのが「違和感」でした。

娘が中学生になった頃、「ライフイズテックに通いたい」と自ら言い出したのです。これは、私が用意したレールではなく、娘自身の興味から生まれた選択でした。

最初は戸惑いもありましたが、彼女はそこからプログラミングに熱中し、文化祭ではホームページや動画制作にも取り組むように。
親として私は、静かにその姿を見守ることにしました。

「守る」ことの中で育まれた力が、やがて「破る」力へと転換される。
このとき私が学んだのは、“違和感を受け入れること”の大切さでした。

これは組織でも見られる現象です。
若手社員が、慣れ親しんだやり方に疑問を持ち始め、「もっとこうした方が良いのでは?」と提案をするようになる。
それは、“型破り”というよりも、“型に熟達したからこそ破れる”という自然な変化なのだと思います。


あなたへの問い

育ちのプロセスには、「型を守る時期」と「型を破る時期」があります。
親もマネージャーも、与えるだけでなく、“手放す”覚悟が求められるときが、必ずやってくる。

あなたが今関わっている人は、どのフェーズにいますか?
そして、あなた自身は――どこに立っていますか? 

Stay tuned for the next article!

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